第9章 とろい木馬

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「ああ、なるほど。赤い流星だか、彗星だかのセリフね。それにしてもまた、ずいぶん古いアニメを参考にしたわね」  麻耶が半分呆れたような口調で言う。今日は学校は休みだったらしく、こいつには珍しくジーンズとTシャツというラフな服装だ。ラミエルも色違いのジーンズとドレスシャツ。桂木二尉が上官に報告に言っている間、俺たちはその部屋のパソコンで関係ありそうな情報を集めていた。 「あら、あの二尉、意外と手回しがいいじゃない。もう護衛艦が晴海ふ頭に来てるわ」  麻耶がそう言ったので俺も画面をのぞいてみると、確かに「そよかぜ」という名の海上自衛隊の船が東京港に停泊している。なるほど、護衛艦と書いてあるからには、その輸送船を護衛に行くための船に間違いない。 「あ、それに、ほら、これ!」  麻耶が指差したパソコンのスクリーンにはこうあった。 『第17特科小隊、本省にて待機中』  特科小隊。なるほど、アメリカのグリーンベレーとかイギリスのSASみたいな特殊部隊なのか。特殊な戦闘訓練を受けた、超人的な活躍ができる自衛隊部隊までが既に待機しているとは。統合幕僚監部直属というのはダテじゃなかったらしい。  桂木二尉が部屋に戻ってくるやいなや、麻耶が大声で言った。 「やるじゃない、桂木さん!護衛艦に特殊部隊まで用意してるなんて!」  桂木二尉はなぜか一瞬きょとんとした表情を浮かべたが、すぐに自慢げな高笑いを発した。 「そ、そりゃもう、このおねえさんに任せなさいって!」 「なら、急いで護衛艦に乗り込まなきゃ。それと特科小隊の人たちもすぐにその船に!」 「え?ああ、そうね」 「ほら、兄さんもラミちゃんも、もたもたしてない!行くわよ!」
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