第9章 とろい木馬

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 な、なに、しまった!横須賀に先回りされていたのか!だが、続く二尉の言葉は意外な、というより、わけのわからん物だった。 「場所は東京都台東区だそうだけど」  はあ?台東区って、上野とか浅草のある辺りだろ?輸送船と何の関係があるんだ?俺は目をパチクリさせながら続きを促した。 「それで詳しい場所は?」 「ええと、なんでも、株式会社木馬のショールームだとか……」 「は?木馬?」 「ああ!あれね!」  俺の横で麻耶がパンと手をたたいた。 「高級リボンの専門メーカーよ。一般には有名じゃないけど、おしゃれにうるさい女子高生御用達の会社よ。ニューヨークや香港にも支店を出してる、知る人ぞ知る名店ってやつ」 「はあ?木馬ってその事だったのか?けど、なんでそんな所と地球征服が関係あるんだ?」  そう言う俺に、桂木二尉も首をかしげながら答える。 「なんでも、商品を強奪して、あ、でも、商品の金額以上の値打ちのありそうな金の塊を置いて行ったというから、強奪でもないわね」  突然、船の無線のスイッチが勝手に入り、聞き覚えのある女の子の声が響いた。 「あたしの髪を結ぶリボンを入手しに行ったんです~」  この声はマクスウェルの魔女2号、ユミエルとか言ったあのツインテールの宇宙人!麻耶が無線機に駆け寄って叫ぶ。 「あんた、今どこにいるのよ?」 「あなたたちの目の前でしてよ」
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