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今度はマクスウェルの魔女1号の声。ふと見ると、船のブリッジの正面の空中に、この前のセーラー服姿のあの二人が並んで浮いている。俺たち四人と特科小隊の10人は一斉に前甲板へ飛び出す。船の舳先で宙に浮きながら、1号サチエルが俺たちに向かって言った。
「もう!せっかく予告状まで出して差し上げたのに、いつまで経ってもおいでにならないから、こちらから探しに来ましたのよ」
は?どういう事だ?しかし、敵が目の前に現れたのだ。ここは自衛隊の誇る特殊部隊の出番だ!俺は周りにいる特科小隊の人たちに声をかけた。
「今です、みなさん!あれが宇宙からの敵です!思い切りやっちゃって下さい!」
だが、その小隊の隊長さんらしき人は、当惑した様子で思いがけない言葉を返してきた。
「いや、そう言われましても……我々は装備がないと。それに我々は陸上自衛隊ですから艦の火器は扱えないのですが」
「へ?あ、あの、みなさん特科小隊なんじゃ?」
「はあ、それはそうですが……」
「あ、あのう……」
船のブリッジにいた二人のうちの一人が申し訳なさそうな口調で俺に声をかけてきた。
「自分たちは休暇中で、戦闘要員はほとんど上陸して今はいませんので、戦闘は無理だと思いますが……」
「へ?あの、この船、護衛艦じゃなかったんですか?」
「いえ、確かに護衛艦ではありますが……」
俺も麻耶ももう何がなんだか分からなくなった。麻耶が半分ヒステリーを起して桂木二尉に向かって怒鳴った。
「ちょっと、桂木さん!これは一体どうなってんのよ?!」
「あ、あれ?麻耶ちゃんが言うから、あたしは何が何だかよく分からないままついて来ただけで……」
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