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特科小隊の隊長さんも怪訝そうな顔で横から口をはさむ。
「自分たちは桂木二尉に言われて、やはり何が何だか分からないまま……」
「いいかげんにして下さいませんこと?」
その氷より冷やかな声は、言い争っている俺たちの頭上から静かに降って来た。おそるおそる、その方向を見上げると、1号サチエルのこめかみにくっきりと十文字型の血管が浮き上がりピクピクと痙攣していた。ううむ、真っ先に彼女がキレたみたいだ。1号サチチエルは空中からラミエルを冷たい目で見降ろしながら、不気味なほど静かな、しかし深い怒りのこもった口調で言い放った。
「こんな、こんな間抜けな星の人類に後れを取ったのですか、あなたは?」
ラミエルは「あ、あははは」と笑ってごまかしながら俺の背中に隠れようとした。次の瞬間、俺たちの周りの気温が急激に下がっていくのがはっきり分かった。これは彼女たちが超能力を使う前兆……
少し離れた貨物ターミナルにある巨大なコンテナが音もなく、ふわりと空中に浮き上がるのが見えた。大きさにしてこの船の半分弱、重さは数トンというところだろう。そのコンテナは音もなく宙を滑り、俺たちの乗っている船に向けて一直線に……
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