第9章 とろい木馬

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 以下は、救助が来るまでの間、救命浮き輪につかまって海面を漂いながら麻耶と桂木二尉が交わした会話。 「ああ、もう!自衛隊員は桂木さんの方でしょうが!なんで、わけも分かってないで、あたしについて来たのよ?」 「いやあ、麻耶ちゃんて、軍事の天才だって聞いてたから、あたしもつい雰囲気に合わせちゃったというか……」 「だいたい、あんな変てこな用語使うから混乱したんじゃないの!なんとかしなさいよ!」 「あ、いや、ほら、自衛隊って特別職国家公務員、つまりはお役所の一種でもあってさ。長年の慣習ってそう簡単には変えられないのよねえ」 「そんなの自衛隊の内輪の都合でしょうが!納税者を混乱させるような用語使うんじゃないわよ!」 「納税者って、麻耶ちゃんまだ高校生じゃん」 「学生だって消費税は払ってるわよ!立派な納税者でしょ!こらあ、自衛隊の責任者、出てこい!」  第1回地球防衛作戦、今回の損害。  海上自衛隊の護衛艦、じゃなくて!駆逐艦!その、駆逐艦の「そよかぜ」、撃沈。
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