第10章 残酷な上司のテーゼ

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 すると操縦席の隅にある小さなランプが青から赤に変わり点滅を始めた。ピコン、ピコンという音も同時に鳴り始めた。 「な、何ですか、この音は?」 「メインバッテリーが切れて非常用電源に切り替わった合図よ。メインの電源が5分、非常用電源が約1分てとこね。そして、その反陽子ビーム砲は非常用電源が作動している時しか発射できないそうよ。つまり、そのロボットの胸のランプが青から赤に変わって点滅している時しか使えないわけ」 「なるほど。今ならその必殺技が使えるわけですか?」 「そういう事。じゃ、あの標的に向けて発射してみて」  俺はスクリーンに出てきた照準表示で狙いを定め、操縦桿の上についている発射ボタンを押した。途端に銃口からまばゆい光が飛び出し、次の瞬間あの巨大なコンクリートの塊は跡形もなく吹き飛んだ。すごい!これは大した威力だ。それから十秒ほどしてロボットは動かなくなった。どうやら電源が完全に尽きたらしい。  俺はロボットの操縦席から外へ出て、駆け寄ってきた二尉に興奮した口調で告げた。 「いや、すごいもんですね。見かけと違って威力はすごいもんだ」  二尉は得意げに笑いながら言った。 「でしょ?反粒子兵器は地球でも研究はされていたけど、ラミエルさんの助けがなかったらまだ実用化はとうてい無理だったわ」
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