第11章 劣情ロマンチカ

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 それを見つめていた桂木二尉がつぶやいた。 「昔聞いた、ある伝説を思い出したわ」  2号機の操縦席からやっとの思いで脱出してきた麻耶がトイレの屋根に這い上がってきて訊いた。 「伝説?どんな?」  二尉は両手を胸の前で組んでうっとりした表情で言った。 「その者、青き衣をまといて、金色の野に……」  ああ、そこまで聞けば充分だ。俺と麻耶は背中からハリセンを取り出して、同時に二尉の頭を三本のハリセンが直撃した。ん?三本?一本多いな。その三本目の先を見たら、宙を飛んで来たらしいサチエルだった。 「わたくしのいもうとを、勝手にネタになさらないで下さいますこと!」  そしてサチエルはすぐに石碑に飛んで戻り、ユミエルを抱いてそのまま空の彼方に消えて行った。ううん、とうとう彼女までハリセン持ち歩くようになっていたか。トイレの屋根の上にうずくまった二尉がうらめしそうに言う。 「ええん、なにも敵と一緒になってハリセンでぶたなくても~」  俺はとどめのツッコミを入れた。 「あの御方に著作権侵害とかで訴えられでもしたらどうするんですか?!今までパロってきた相手とは格が違うんですよ、格が!」  第3回地球防衛作戦、今回の損害。  ロボット兵器の2号機、大破、スクラップ場行き。乙女ロードの全店舗、その後1週間営業不能。
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