第12章 ブラッド・ピーッ

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 向かって右側に立っているサチエルが髪を後ろにかき上げながら不満そうに応えた。 「あら、わたくし達の麗しい名前はご存じのはずですのに、そんな無粋な番号で呼ばれるとは心外ですわ。でも……」  そこまで言って1号サチエルは2号ユミエルに顔を向けた。 「そういう呼ばれ方をされたからには、アレをやらないわけにはいかなくなりましたわね。ユミエル、用意はよろしくて?」 「はい!おねえさま!」  そしてサチエルは右の手を拳に握って自分の右の腰にあて、左腕は指の先までまっすぐ伸ばして体の斜め上に向けてピンと突き出した。ユミエルは両腕を指先までまっすぐ伸ばし、自分の体の右側に地面に水平にそろえて伸ばした。  俺と麻耶と桂木二尉は腰をかがめて身構えた。あのポーズは何だ?新しい超能力攻撃なのか?  サチエルはそのまま左腕を、大時計の針のように天に向けたまま左側に回し始めた。ユミエルは両腕をそろえたまま自分の頭上に上げる。そしてサチエルは体の反対側、やや斜め上に左腕を移動させると素早く左右の腕の位置を入れ替えた。ユミエルは体の反対側に両腕を移動させ、力こぶを作る時の要領で直角に肘を曲げた。そして二人は声をそろえて叫んだ。 「ヘンシン!」  次の瞬間に「ズギュン」という音がしたのは、ラミエル以外の俺たち全員がずっこけて尻もちをついた音だった。ラミエルだけは俺たちが何に呆れたのか分からないようで「あれ?あれ?」と言いながら立ったまま心配そうに俺たちを見まわしていた。
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