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「で、その補給物資って何?」
「たとえ原始的な文明の星でもたいていの所では経済的価値を持つと推測される金属で……ええとこの星での名称は……原子番号七十九とか、元素記号Auとか……」
麻耶が焦れて怒鳴った。
「ああ、もう、回りくどいわね。ほら兄貴、一応は理系志望でしょ?さっさと調べる!」
一応は、は余計だと思いつつ口には出さず、俺は化学の参考書を机から取り出して開いた。原子番号というのは、その元素の原子核の内部にある陽子という素粒子の数の事だ。こういう数字は宇宙のどこでも同じはずだから、地球の元素周期表を見れば分かる。
すぐに分かった。そして驚いた。固まっている俺を麻耶がせかす。
「それ何なのよ!」
「金……だ」俺は夢うつつの状態で答えた。
麻耶も一瞬絶句して、それから黄色い声を上げる。
「金!金って、あの貴金属?英語で言うとゴールド?」
ラミエルが俺の手の中の参考書を横からのぞき見て保証する。
「はい、これです。この金属の事です」
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