第12章 ブラッド・ピーッ

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 戦闘の疲れと、思いがけない展開から受けた精神的疲労が限界に達していたのだろう。麻耶はいつの間にかラミエルのベッドの隅に突っ伏して眠りこんでしまっていた。それを見つめているうちに、俺の意識も次第にかすんでいった。  どれぐらい眠っていたのだろう?俺は自分の手が何度も引っ張られる感覚で目を覚ました。窓からもう朝日が差し込んでいた。そして俺の手を引っ張っていたのは、ラミエルだった! 「ラミエル!気がついたのか!」  俺が大声をあげたので、麻耶も目を覚ました。ラミエルはまだ衰弱した様子だったが、ベッドの中からにっこりと笑って言葉を返してきた。 「はい!ご心配をかけてすみません。まだちょっと体がだるいけど、もう大丈夫です」 「わーん!ラミちゃ~ん」  早速麻耶がラミエルに抱きついた。俺は桂木二尉にラミエルの意識が戻った事を知らせるために、足早に部屋を飛び出した。  数日後、まだ頭に包帯を巻いているが、すっかり元気を取り戻したラミエルを連れて、俺と麻耶は防衛省の俺たちのチームの作戦室へやって来た。桂木二尉は既に部屋にいて、俺たちはいつものように長机に座った。まず二尉が報告をしてくれた。 「やはり、ラミエルさんの血液細胞の構造は微妙に地球人とは違っていたようね。一時的に高熱にうなされたのは、赤血球の表面の分子構造がほんの少し違っていたから、らしいわ。でも深刻な症状は出なかったようだし、地球人との間で輸血が可能である事は証明されたわけ」  俺は心の底から安堵して思わずため息を漏らした。いや、ほんとによかった。 「そして今日集まってもらった、本題はこれよ」  二尉が机の上のスイッチを押すと、壁が大きく左右に開き隣の部屋が現れた。そしてその小部屋で椅子に腰かけていたのは、マクスウェルの魔女1号と2号!
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