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「ラミちゃんが行くなら、当然あたしも行くわよ」
今度は麻耶。
「それに、その地球征服計画が成功しても、あたしが地球の支配者にしてもらえるとか、そういう得は何もないじゃない」
って、それかよ、理由は。麻耶は無言で、しかし有無を言わさぬ目つきで俺の目をじっとのぞきこんだ。俺はたまらず言った。
「分かってるよ!そんな目で見なくたって、ラミエルやおまえだけを行かせるわけにはいかねえだろ」
「なら、わたしも……」
そう言って椅子から立ち上がりかけたユミエルだったが、サチエルは彼女の両肩を手で押さえつけるようにして止めようとした。
「ユミエル、あなたはここに残りなさい。さっき、その地球の軍人さんがおっしゃったように、どんな危険があるか分からないわ。あなたには、わたくしのような物理的なパワーの強い超能力はないのだし」
「おねえさま!何をおっしゃるんですか?」
ユミエルは周りの俺たちがびっくりするような大声を上げて、サチエルの両手を押し返すように立ち上がった。その両目にはあふれんばかりの涙が浮かんでいた。
「おねえさまのいない世界に、わたし一人残っても何の意味もありません。たとえこの宇宙から消滅するとしても、その時はおねえさまとご一緒に……」
「ユ、ユミエル!」
サチエルとユミエルはそのまま、人目もはばからず正面からひしと抱き合った。俺は思わずあさっての方向に顔をそむけた。麻耶が足の先で俺の脚をちょんちょんとつつきながら笑って言った。
「なによ。中学生の子供じゃあるまいし。百合系ぐらい知ってるでしょ。なに、真っ赤な顔になってんのよ?」
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