第2章 史上最低の侵略

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 確かに麻耶が貸したのは一着だけだし、着たきりスズメというわけにもいかないだろう。なにせこれから金を売って大金が手に入ると思っているから三人とも不必要に気が大きくなっていたようだ。  さて若い女の子二人が、東京でも指折りのショッピングゾーンで買い物を始めたのだから、後の展開は誰でも予想できるだろう。  その点に関しては宇宙人であるラミエルも全く同じようで、麻耶にあっちの店、こっちの店と連れまわされながら結構楽しそうに自分の服や靴、その他の品物を選んで回っていた。何かを買う度にその荷物を俺に持たせてだ。俺は両手で抱えた荷物で顔が隠れて首を横に傾けないと前も見えないというマンガに良く出てくる格好で、二人の後を足を棒にしてついて歩いた。  次々に買う品物の代金は当然のごとく俺が払わされた。まあ、親から仕送りが入ったばかりだから多少の金はあったし、これから大金が手に入るのだから、俺もいつもと違って麻耶に言われるままに何万円使っただろう?  やっと買い物が済むまで二時間と四十七分。俺はさすがに気になって麻耶に声をかけた。 「おい、買い取りの店はいいのか?だいぶ時間たってるぞ」  麻耶はその時初めて今日の目的を思い出したかのような顔で、いや実際そうだったに違いない、やっとあわてた声を出した。 「あ、いっけない!そうね、そろそろ行きましょ」
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