第14章 大魔神カモ~ン

7/20
前へ
/285ページ
次へ
 そこへ夕飯が運ばれて来たので、とにかく全員で腹ごしらえをする事にした。ご飯とみそ汁、数種類の焼いた魚や貝という献立だったが、いや、かまどで炊いた米は一味違うというのは本当だな。腹が減っていたせいだけではなく、俺は猛烈に食欲が湧いていた。  サチエルとユミエルはもっと感激していた。前にラミエルから聞かされたが、イケスカンダルでは食事は全てロボットか自動調理器が作るだっけ。原始的だが、だからこそ、彼女たちには生まれて初めての新鮮な経験のはずだ。思った通りユミエルが感極まったという口調で感嘆の声を上げた。 「なんておいしい!これが手作りの味という物なのですね、おねえさま!」 「ええ!築地の料亭でもこの味は出せませんわ!」  うん、うん、そうだろう。これこそ手作りの……え?築地の料亭?俺は思わず聞き返した。 「築地の料亭って俺たちの時代の話か?」  サチエルが不思議そうな表情で言う。 「はい。わたくしたち、夕食はいつも築地か銀座の料亭で取っておりましたが。それが何か?」  俺はラミエルに顔を向け、言ってみた。 「なんか、同じ地球征服要員でも、えらく差があるような気がするんだが……」  ラミエルはみそ汁をのどにひっかけたらしく、数秒せき込んでから笑ってごまかした。 「あ、それは、あの……あ、あははは」  夕食の片づけが済んでからも小夜ちゃんは俺にまとわりついて離れなかった。が、やがて俺の膝の上でコックリコックリし始めた。やはり小さな子供だからもう眠くなったんだな。今日はいろいろあったので、俺たち全員さすがに疲れていた。
/285ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加