第14章 大魔神カモ~ン

15/20
前へ
/285ページ
次へ
 その二尉の真横にあのメイドが上から降り立つ。やはりまた宙に飛んでいたか。銃口を向けようとする二尉にメイドは余裕しゃくしゃくの口調で告げた。 「マドモワゼル、引き金を引く前に、銃口の先をご覧になった方がよろしいかと……」  そう言われて銃口の先を見た俺も二尉も驚きのあまり声を失くした。二尉の自動小銃の銃口にはいつの間にか、銀のナイフがささっていた。二尉があわてて抜き取ろうとするが、固く押し込まれていて抜けないようだ。もしあのまま引き金を引いていたら銃身が破裂していただろう。二尉は自動小銃を棍棒の様に振り回すが、メイドは軽々とかわしてまた飛びのく。二尉は自動小銃を地面に投げ捨て、腰のホルダーから拳銃を引き抜きながらまたメイドに叫んだ。 「あなた、やっぱりただ者じゃないわね!」 「いえ」  メイドは憎たらしいほど落ち着いた表情と口調で、右腕を胸にあて優雅に一礼しながら答えた。 「あくま……で、メイドですから」  く、黒メイド?ただでさえ時間がない時に厄介な相手が出てきやがった。その後サチエルがテレキネシスで攻撃を仕掛けたが、メイドはどれもこれも軽々とかわしてしまう。その動きはまるで社交ダンスでも踊っているかの様に見えた。
/285ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加