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俺達三人はアメ横を通り抜け、少し大きな通りを渡って線路のガード沿いの通りに入った。確かに麻耶の言っていた通り、貴金属、宝石という文字の入った看板があちこちに見える。
麻耶は先頭に立って俺とラミエルを通りのとある場所へ連れて行き、左右に二軒の貴金属・宝飾店がある所で立ち止まった。そして訳の分からない事を俺に命じた。
「兄さん、今からきっかり十分経ったら教えて」
そう言って麻耶はその二軒の店の入り口を食い入るようにじっと見つめ始めた。俺は言われるままに腕時計を眺めながら、我慢できなくって訊いてみた。
「どうして早く入らないんだ?」
「数を数えてるのよ」
「何の数だ?」
「入っていく客の数。この時間帯は店に売りに来る客が多いの。どっちの店に多く客が入るか見てるのよ」
「なんでそんな事をする必要があるんだ?」
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