第15章 ヨスガノウミ

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 するとどういう仕掛けなのか、石燈籠の蝋燭を置く部分に火が付き、昼間でもまぶしい強烈な光が三度、海の方に向かってフラッシュのように瞬いた。それでも何も起こりそうにないので、俺はたまらず桂木二尉に問いかけた。 「あの、やっぱり単なる伝説だったんじゃ?」  もしそうなら、俺たちの地球は終わりだ。俺は自分でも顔色が真っ青になっているのを自覚していた。二尉はむしろ落ち着き払った口調で答えた。 「もしそうなら、全ては終わりね。もうなるようになるしかないわ」  俺たち全員が食い入るように崖の巨人像を見つめ続けた。一縷の望みを込めて。しかしいっこうに動きだす様子はない。  が、俺たちの背後からザバーン!という大きな音が突然響いた。あわてて振り向くと、岸近くの海面が見上げるほど高く盛り上がり、巨大な水柱が立っていた。そして海水が徐々に落下して行くその中からそれは姿を現した。  それは二足歩行の恐竜のように見えた。ティラノザウルスとかいうのに似ているが、四肢がもっとずんぐりと太く、頭が小さく、全体にまっすぐに立っている点が違った。背中にはやけにでかい鰭みたいな物がずらっと並んでいる。その巨大生物は砂浜に歩いて上がりながら口を大きく開けて、背筋がぞっとする咆哮を放った。 「グゥワー、オーン、ウォ、ウォ」  俺の横で桂木二尉が大きく息を呑む音がはっきり聞こえた。二尉は震える声で誰にともなくつぶやく。 「あれは……ジュラ紀から白亜紀にかけて極めてまれに生息したとされる、海生爬虫類から陸上獣類に進化する途上の生物!」
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