第16章 エピローグ

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 そう聞き返す俺に二尉はうれしくてたまらないという口調で答える。 「久しぶりに休暇が下りたのよ。今回の失敗で敵の宇宙人側もだいぶ損害を被っただろうから、地球征服をあきらめてはいないとしても、再開するには相当時間がかかるだろうって上のお偉いさん達も考えてね。いやあ、この件の担当になってからまともな休みなんて一日もなかったのよねえ。というわけで、休暇を満喫するために全員で奥多摩へキャンプにレッツゴー、ってわけよ」 「はあ、俺と麻耶はもう夏休みだし、ラミエルはもともと何もしてないからいいですけど」  そう言って俺はサチエルとユミエルの方に視線を向けた。 「この二人まで連れて行って大丈夫なんですか?」 「その二人は当面日本政府が保護するけど、日常生活は普通に送らせる様にしなきゃいけないしね。まあ、地球の生活を体験してもらう、いいチャンスでしょ。許可は出てるわよ」  そういうわけで、翌日の昼前、俺たちは郊外のファミレスで待ち合わせる事になった。桂木二尉は調べ物が一つ残っているとかで、後から車で俺たちをそのファミレスで拾いに来る事になっていた。  入り口で俺、麻耶、ラミエル、サチエル、ユミエルの5人が揃い、中に入りかけたところで大型のバンが駐車場に入って来て窓から桂木二尉が大声で呼びかけてきた。どうやら用事は思ったより早く済んだらしい。  キャンプと言っても日の出町という、東京都の西の端っこにある田舎町のキャンプ場が行き先だ。全員ジーンズに半袖シャツという軽装。テントやたいていのキャンプ道具は現地で借りられるそうだし、食糧やらは桂木二尉の車にもう積んである。いたって身軽なもんだ。
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