第3章 女たちの大和

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「私はただの学生でした。学問のレベルはわたしの星の学校の方が上だろうとは思いますが、地球で言えば、まあ高校生に近いです」  これは意外な答だ!確かに肉体的な年齢も見た目も俺や麻耶と大差ないし、むしろ気の弱いところは俺達より子供っぽくさえある。  ひとしきりおでんを平らげ終わったラミエルは、自分の故郷の星の事をぽつぽつと聞かせてくれた。  彼女の星は文明や科学技術は地球よりはるかに進んでいるが、ありとあらゆる資源を使い果たす寸前まで来ていて、人口も減り続け、かつ下手に医学が発達しているせいで長生きの老人が全人口のなんと七割を占めているという。当然ラミエルのような若者は希少価値で手厚く保護されて育てられる。  問題はその育て方だ。彼女の星では七歳になると親から引き離され、子供だけの施設で集団生活を送りつつ最高の教育を施される。かなり早い年齢のうちから、たとえば科学者向きとか、政治家向きとか、経済の専門家とか、そういう風に適性を見極められてそれぞれに必要な知識を与えられ、高度な訓練を受ける。  なにせ若い世代の絶対数が少ないから、ラミエルの星の未来を担う貴重な人材として一人たりとも無駄にはできないという事らしい。  ちなみに施設での毎日の食事は栄養バランスが完璧にコントロールされた宇宙食のような物をロボットが調理する。一般家庭でも料理はロボットや自動調理器がやるそうだ。一見夢のような未来世界のような気もするが、味気ないと言えば味気ない話だ。
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