第3章 女たちの大和

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 彼女が「人の手で料理した物を食べたのは初めて」と言ったのは、嘘でも大げさでもなかったわけだ。 「で、彼氏とかいなかったの?」  これは麻耶だ。まったく、人が真剣な話してる時になんでそっちへ話が行く?ラミエルが答える。 「私の星では原則として結婚まで男女交際は禁止です。そもそも結婚するまで男と女が接触すること自体滅多にありません。生活する施設も、住んでいる居住区自体が男女別に分かれていますから」 「ちょ、ちょっと待って!」  麻耶があわてた様にラミエルの話をさえぎる。 「じゃ、結婚相手はどうやって探すのよ?男の子と会うことすら出来ないみたいじゃない、それじゃ」 「結婚相手は政府のコンピューターで選ばれます。子供を産める若い世代の人口が少ないし、今でも減る一方なので、優秀な子供が生まれる組み合わせを遺伝子レベルでコンピューターが探して決定するんです。私の星では、その時に初めて、異性と接触するわけです。ちなみにコンピューターが決定した相手との結婚を拒否する事は許されません」 「なによ、それ!まるで戦前の日本の農村じゃない!」  と麻耶が、こいつには珍しく本気で他人の事で怒っていた。
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