第3章 女たちの大和

8/25
前へ
/285ページ
次へ
「ねえ、何よそれ?早く教えて!」  麻耶が小さな子供のようにラミエルをせかす。ラミエルはマニュアルを読みながら、かつ例のコンパクト型のスパコンで何かを調べながら答える。 「ええと……鉄を自在に変形、加工する装置だそうです。鉄の含有量が全重量の51パーセント以上なら……まあ簡単に言えばどんな物体でも好きな形に変形させて操れる、というところみたいですね」 「その操れる鉄の物体も一メートル四方なのか?」とこれは俺。 「いえ、対象となる物体の大きさに制限は無いようです。と言っても、この星に現存する物体でないと現実には使えないと思いますが」  そのラミエルの言葉を聞いた麻耶の両目がピクリと動いて直ちに妖しい光を放ち始めた。こいつが悪だくみを考え始めたサインだ。もっともそれに気付く事が出来るのは俺と数人の親戚だけなのだが…… 「鉄、鉄ねえ。東京スカイツリーをドリルに変えるとか……」  妹の半ば独り言と化したたわごとを無視する事に決めて、俺はラミエルに訊いた。
/285ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加