第1章 銀色の侵略者

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「この星の電波から抽出した映像を参考にしたんですが、何か変ですか?」  俺はしばらく考えて、思い当たる節を見つけた。 「その電波って、この星からどれぐらい離れた所でキャッチしたんだ?」 「あ、はい。ええと……確か五十光年ほどだったかと……」  なるほどね。俺も理系の大学志望者の端くれだ。電波と光は同じく電磁波という波の一種で空間を伝わる速さは似たようなものだ。  つまり、五十光年離れた所から地球を見ると、半世紀前に地球を飛び出した光が見える事になる。俺達が毎日見ている太陽だって、実は八分ぐらい前の姿なんだ。太陽から地球に光が届くのに八分ほどかかるからだ。  つまり、この女、何者だかまだ分からないが、この女の子が言っている「この星からの電波」ってのは1960年代ごろに地球から発信された物だと考えていい。そういう出だしで始まる特撮番組ってのがあったよな、確か。親父の子供時代に。 「あのな、それいいかげん古いぞ。変な演出はいいから姿を見せてくれ」  俺は心底げんなりした口調で言った。今の十代に「フラッシュビームで変身」なんて、ギャグでも通じんわ! 「あれ……あたし何か間違えたのかしら……すいません……あの……」 「いいから!さっさと姿を見せろ!」  俺がいらついて怒鳴ると、「キャ」と小さな、妙に可愛い悲鳴が聞こえて、周りの赤い光が消えた。なんとそこは俺のアパートの部屋だった。おまけに自転車まで部屋の中に転がってやがる。 「あの、すいません、すいません……わたし、異星人との遭遇は生まれて初めてで」
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