第3章 女たちの大和

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 さて神保町に着いてなるべく古い本が置いてありそうな店を回り、店主のおじさん達に訊いて回って、やっとそれらしき本を3冊見つけた。相当マニアックな本らしく、日本中で何軒の本屋にあるかどうか、という代物だそうだ。  どれも煤けて少し黄ばんでいて、いかにも古本という感じだったが、値段を聞いて俺は目を回しそうになった。なんと3冊合計で一万三千円!それだけ希少価値のある本だと古本屋のおやじは得意そうに言っていたが、世の中には物好きがいるもんだ。  背中と鼻で荷台のラミエルのあの感触を楽しみながら、俺はえっちらおっちら自転車をこいで自分のアパートへ戻った。さっそく今日の収穫である本を開いてラミエルと手分けして読んでみた。  ちなみに彼女は地球へ派遣されるにあたり、地球上の大抵の言語を話す、読む、書く、全て習得してきている。なんでも直接脳に知識をインプットする機械があるそうで、うらやましい限りだ。そんな物があれば俺も受験の英語に苦労しなくて済むのだが。  明け方近くまでかかって全て読み終えて、俺は戦艦大和のすごさに初めて気がついた。それまでは何となく昔のすごい軍艦という程度の認識しか持っていなかった。
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