第3章 女たちの大和

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 俺だって男の子だから子供の頃、戦争ものの映画やマンガや戦略ゲームに夢中になった経験はある。でも今は作り物やコンピューターグラフィックじゃない、本物の戦艦に乗って動かせる立場なのだ。  てな事を考えていると、遠くの方から小さな点に見える物が空から近づいてきた。音からしてヘリコプターらしい。近くまで来ると機体の横腹に「海上自衛隊」と書いてあるのが見えた。  どうやら麻耶の送ったメールが効いたらしい。受け取った方は単なるいたずらだと最初は思っただろうが、実際に巨大戦艦が突如日本近海に出現したのであわててヘリを飛ばした、というところだろう。  ヘリから拡声器で警告が発せられた。 「そこの国籍不明船、ただちに停止しなさい。繰り返します、ただちにその場に停止しなさい」  日本語の後に、どうやら英語、韓国語、ロシア語、中国語で同じ内容の警告を発したらしかった。まあ、どこの国の船だか自衛隊に分かるわけはないからな。まさか自分の国の戦艦がよみがえったとは、すぐには信じられないのだろう。
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