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その声の主は俺の目の前に座っていた。六畳一間の畳の上の折りたたみ式のテーブルをはさんで向かい合う格好で、俺と彼女は座っていた。
たっぷり十秒ほど、俺は相手をじっと見つめていた。そしてやっと、驚いた。相手は全身をすっぽり包む銀色の宇宙服のような物を着て、そこはいかにも宇宙人らしかったが、まるっきり地球人と変わらない姿をしていたからだ。
しかも、しかも、である。百人中九十九人までが文句なく認めると言っていい、美少女だったからだ。
肌の色は日本人より少し白い。髪は肩までのストレートで、色が濃い紫なのが、変わっていると言えば言える。
が、顔かたち、つぶらな目、小さめの唇、絵に書いたような美少女だ。
「すみません……恒星間飛行は初めてなので、着地の仕方が分からなくて……それで、あなたと出会いがしらにぶつかってしまったようで……本当にすみません」
何度もぺこぺこ頭を下げながらそう語る彼女を横目で見ながら、俺は自分の体をチェックしていた。別にどこも怪我はなさそうだし、痛い所もない。自転車も少しハンドルが曲がっているようだが、壊れているというほどじゃない。あれならすぐに直る。
俺はエヘンと咳払いをして気を取り直し、彼女の方に向き直り、まず訊くべき事を聞き始めた。
「君は宇宙人なのか?」
「え、あ、まあ、地球の人から見ればそうなりますね」
「名前は?あ、俺は北条早太。」
「ラミエルと申します。よろしくお願いしますね。」
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