第3章 女たちの大和

21/25
前へ
/285ページ
次へ
 もちろん俺達はそれを無視して最大スピードで東へ、つまり東京湾目指して突き進む。ヘリの数が一つまた一つと増えて行き、そのうち上空をジェット戦闘機が時たま横切るようになった。警告の音が段々大きく、かつ威圧的になっていく。 「そこの不審船、ただちに停船せよ。これ以上のわが国の領海での航行は日本国への侵犯行為とみなし、場合によっては必要な措置をとる!」  俺は少し不安になってきて麻耶に言った。 「なんか攻撃するって言ってるぞ。大丈夫か?」 「日本の自衛隊はね、専守防衛って言って、相手が攻撃してこないと先に手は出せないの。中学の社会の授業で教わったでしょ?憲法第九条!」  いや俺は文系の科目は苦手で社会の授業ってほとんど寝てたからなあ。この辺の事は麻耶に任せよう。  やがて俺達の進行方向に大きな船の影が見えてきた。と言っても大和に比べりゃちっぽけにしか見えない大きさだが。麻耶が不敵な笑みを浮かべてつぶやく。 「ふーん、来たわね。イージス艦のお出ましよ」  麻耶によれば、イージス艦とは複数の海上、空中の敵目標を同時に追跡し攻撃出来る、世界最新鋭のレーダーとミサイルを装備した軍艦だそうだ。もとは米軍が開発したもので、日本の海上自衛隊も計六隻を持っている。どうやらそのうちの一隻が俺達の大和の前に立ちふさがっているらしい。
/285ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加