第3章 女たちの大和

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「こういう時は最初が肝心よ。最初に一発強烈な一撃をお見舞いして相手の戦意をなくさせる」  麻耶が腕組みしながら重々しく言う。なんか変な貫禄がついてきてるな、こいつ。 「ラミちゃん!主砲発射よ!目標は前方のイージス艦」 「は、はい!」  ラミエルが女王様にかしずくメイドのような態度で手元のコンパクト型スパコンを操作する。大和の前甲板の第一主砲三門がいっせいに火を噴いた。ほとんど水平に近い角度で海上自衛隊のイージス艦に向けて飛んで行く。  が、その瞬間麻耶がすっとんきょうな叫びを上げた。 「ちょ、ちょっと、何よ、今の?」  そして驚いた事に、大和の主砲弾は三発ともイージス艦の手前で打ち落とされた!まるでオモチャみたいなイージス艦の艦首の小さな大砲、そしてこちらが主砲を発射した直後に向こうの艦から飛び出したミサイルによってだ。  麻耶が半分パニック状態で次の指令を叫ぶ。 「艦首波動砲、用意!」  ラミエルがすかさず「了解!」と叫ぶ。俺も「おお!」と大声で応える。そして俺とラミエルは、ある事に気がつき、お互いの目をじっと見つめ合った。  へ?大和にそんな武器付いてたっけ?俺は持ってきていたリュックから古本屋で買った本を取り出し、おそるおそる麻耶に声をかけた。 「あ、あのさ……そんな兵器この本には載ってなかったけど?」  麻耶はひったくるように俺の手から三冊の本を取り、表紙をじっと見つめ、パラパラッと中を眺めて、そして本を一冊ずつ俺に向かって投げつけてきやがった。そしてこう怒鳴った。 「この馬鹿兄貴!」
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