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俺は一応携帯で妹に指示を仰いだ。金額を聞いた麻耶は、数秒押し黙って、おもむろにこう言った。
「ふーん、じゃあ明日百ドル紙幣を一枚用意して」
「分かった。で誰が用意するんだ?」
「兄さんに決まってるでしょ!他に誰がいるのよ!」
俺は携帯の受信口を思いっきり耳から遠ざけながら続けた。
「ちょっと待て。俺はパスポート持ってないぞ。それに飛行機代がない」
「誰が外国までわざわざ行けって言ってるのよ!ドルは大きな銀行の支店で手に入るわよ。その辺だったら大手都銀の支店いくらでもあるでしょ」
「でも手に入れるってどうやって?」
「ちょっと待って……ええと今日のレートが一ドル八十五円ぐらい……そうね手数料とか考えても一万円札持って行けばいいわ。とにかく銀行の人に百ドル紙幣が一枚欲しいって言えばいいの。あとは銀行の人が教えてくれるわ」
「ううむ、よく分からんが、とりあえず分かった」
「分かったの?分からないの?どっちなのよ、もう!」
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