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で窓口に舞い戻りおねえさんにアメリカのドルでしたと告げ、百ドル紙幣を一枚と付け加えた。九千二百十五円ですと言われて、訳が分からずに持ってきた一万円札を出し、お釣りを受け取ってそのままアパートへ帰った。
部屋で待っていたラミエルに尋ねてみたが、彼女の星では紙や金属で出来たお金はもう六百年も前に廃止されていると言う。どうも電子マネーやカードだけで全ての買い物や支払いが出来るらしい。だからラミエルにも、この百ドル紙幣をどう使うのかは見当もつかないという返事だった。
さて夕方になって、制服の夏用セーラー服のままの麻耶が息せき切って俺の部屋に飛び込んできた。俺が苦心惨憺の末手に入れてきた百ドル紙幣を手にとってじっと眺め、そしてやおらラミエルにこう言った。
「ラミちゃん、これのコピーを大量に作れる?十億枚と百億枚とかの単位で」
「はあ、それは可能ですが……ただ一度その紙切れのコピーに使うと、この複製機はもう他の用途には使えなくなりますけど……それでいいんですか?」
「問題なしよ。ただ隅から隅までそっくり同じでないとダメよ。そこは大丈夫?」
ここで俺はやっと妹の意図を理解した。
「こら!それは偽札作るって事じゃないか!そりゃもう犯罪だろうが!俺はおまえをそんな風に育てた覚えはないぞ!」
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