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「あたしだって、兄さんに育ててもらった覚えはないわよ」
麻耶は眉一つ動かさずそう言ってのけて俺を諭すように話を続けた。
「前回は直接武力に訴えようとしたから失敗したのよ。地球征服はなにも武力だけが手段じゃないわ。今回は経済戦争てとこね」
突然ラミエルが両目から大粒の涙をぼろぼろとこぼしながら畳の上に正座して額を床に擦り付けんばかりに謝り始めた。
「すいません……わたしの受け取る金が少ないばかりに麻耶ちゃんにこんな事をさせてしまうなんて……すいません、すいません……わたしに稼ぎが、甲斐性が無いばかりに……お世話になっているお二人をこんな事に……うう……」
いや、別に君に養われているわけじゃないし、俺も麻耶も。どっちかというと逆なんじゃ?
麻耶は畳に座り込んで、フゥーーーーーと、これでもかってぐらい長いため息をつくと、俺達に向かって説明を始めた。
「あのね、偽札作るのが目的なら自分の財布の一万円札コピーすりゃいいでしょ。わざわざ米ドル札用意させた意味分かってんの?」
言われてみりゃそうだ。
「ではここで問題です。北条早太君、答えなさい」
麻耶はいきなり先生口調で俺を指差した。
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