第4章 麻耶対アメリカ、経済戦争

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「イランはこっそり核兵器を開発しようとしていると言って、アメリカは一時イランに戦争仕掛けるとまで息巻いていた時期あったわよね。でも国連の調査ではその証拠は見つからなかった。ところが同じ頃に北朝鮮は原爆の実験やって堂々と核兵器の保有国になったと世界中に自慢してたわ。そこまでやった北朝鮮はほっといて、疑いがあるってだけのイランを目の敵にする。これっておかしくない?」 「い、言われてみれば……」  確かに変と言えば変な話だ。アメリカが世界正義とかのために動いているのなら、真っ先に北朝鮮に攻め込んで核爆弾を取り上げるのが筋だよな…… 「答は簡単。イラクとイランはドルの世界支配に挑戦した。北朝鮮はそれはやってない。だから。それが答よ」  麻耶の言うことが俺にはまだ全然理解出来ない。正直に麻耶にそう告げると、我が妹はこう続けた。 「じゃ、また質問を変えるわよ。日本のある会社がアメリカから何か物を買ったとします。何という通貨で代金を払う?」 「そりゃドルだろ?あ、もちろんアメリカのドル」 「では日本の会社がブラジルから何か買ったとします。代金は何で払う?」 「……ブラジルドル?」 「そんな通貨ないわよ!ブラジルの通貨はレアル」 「じゃあ、そのレアルで、だよな。」 「ブッ、ブー。」 「え?なんで?」
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