第4章 麻耶対アメリカ、経済戦争

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「ではそうね、どこの国でもいいんだけど、たとえばスーダンがインドネシアから何か買ったとします。さあ、代金は何で払う?」 「分かった……降参だ」  俺はあっさり両手を万歳の格好に上げた。麻耶は勝ち誇った顔で続けた。 「答は米ドル。アメリカのお金で支払うのよ」 「え!どうしてそんな面倒な事するんだ?」 「米ドルはね、世界基軸通貨と言われていて、アメリカ以外のA国とB国の貿易でも支払いは米ドルで、ってケースがほとんどなの。まあ、何か事情があればその国の通貨で決済するよう取り決めるのは勝手だし、最近はEUのユーロを使う取引も増えてきているけど、まだまだ外国との貿易の支払いは米ドルでやる国が多いのよ」  ここでラミエルがポンと手を叩いて話に入ってきた。 「つまりアメリカのドルという通貨が地球上で一番価値が安定していて信用がある、そういう事ですか?」  麻耶はラミエルに軽く抱きついて頭をなでなでしながらぱっと笑顔を浮かべた。 「さすがラミちゃん。兄貴より頭いいわね」  ふん!悪かったな。頭の悪い兄貴で!
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