第4章 麻耶対アメリカ、経済戦争

11/24
前へ
/285ページ
次へ
「私の星も八百年ほど前までそういう状況だったと学校で習いました」とラミエル。  てことは何か?地球は彼女の星より少なくとも八百年遅れてるわけか?  麻耶が話を続ける。 「別に米ドルを使わなきゃいけないって決まりがあるわけじゃないわよ。でも他の国、特に貧しい発展途上国のお金は価値の変動が激しくて、受け取った時には値打ちが半分になっちゃったとか、最悪の場合は価値がゼロになって紙くず同然になっちゃったとか、そういう危険があるわけ。その点、米ドルなら多少価値が上がったり下がったりはあるけど、少なくとも紙くずになる心配はないわ。だから国際貿易では米ドルで支払うというのが国際的な慣行になっているの」  俺は右手を上げて「先生、質問。」 「はい、何かしら?」とその気で答える麻耶。 「それとさっきの戦争の話と何の関係があるんですかぁー?」 「イラクはフセイン政権時代に、石油を売ったら米ドルではなくユーロで支払うように他の国に言ったのよ。イランも今同じ事言ってるわ。日本には石油の代金を日本円で払ってくれって言ってきて、実際日本の石油会社の中にはそうしてるとこがあるのよ。これはアメリカにとってはすごく困る事なの」 「なんで困るんだ?」
/285ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加