第4章 麻耶対アメリカ、経済戦争

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 話が長くなるので、俺が理解できた時点までの話をまとめるとこういう事らしい。アメリカが政府と貿易の両方で大赤字なのに世界一の経済大国でいられるのは米ドルが世界中の貿易でいわば国際通貨あるいは世界共通通貨として使われているから。  貿易をしないでやっていける国はないから世界中の国が常にアメリカ政府が発行する米ドルという紙幣を欲しがる。アメリカがいくら自分のとこの貿易で赤字になっても、米ドルを欲しがる国が世界中にあるから輪転機回してドル紙幣を印刷すればチャラに出来てしまう。  数字としての貿易赤字がどれほど巨額であろうと、世界中の国がドルというアメリカの通貨を常に必要としている間は、ドルの価値が大きく下がることはない。  これがアメリカ以外の国だったら、あんな途方もない貿易赤字を毎年垂れ流していたら、すさまじいインフレが起こって経済は壊滅的な状態になってしまうそうだ。しかしアメリカだけは世界基軸通貨の国なので、そんな事にならずに済んでいる。  これがアメリカの経済力の源泉になってきたわけだ。金があるから軍隊に大金を使う事が出来る。だからアメリカは軍事的にも世界最強の国家でいられる。つまりアメリカが世界最強の軍隊を持てるのは、自分の国の通貨が世界基軸通貨だからだ。
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