第4章 麻耶対アメリカ、経済戦争

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「ここまで言えば分かったでしょ。その百ドルのお札を何億枚も作って世界中にばらまくのよ。アメリカ政府の知らない所でドル紙幣がどんどん増えて使われたら、いくら世界基軸通貨でも信用がなくなるし価値も下がる。アメリカは経済的に破滅して、世界最強のアメリカ軍も弱体化する。これがあたしの狙いよ」  麻耶はうきうきした表情で言った。ホント、こういう時のこいつは心からうれしそうな顔するな。とはいえ俺にはまだ疑問が残っていた。 「けど、なんでアメリカを弱体化させる必要があるんだ?」 「この前の大和の件で分かったの。軍事力で地球を征服しようとすれば、地球の軍隊も死に物狂いで反撃するわ。平和ボケの日本の自衛隊相手でさえアレだったのよ。地球征服が本格的段階に入ったらアメリカの軍事力は最大の脅威よ。だからその前に、経済の側面からこっそりアメリカを攻撃して米軍の力を弱めておかなきゃいけないの。兄さん、米軍と正面からケンカして勝つ自信ある?」  そりゃ、あるわけない。確かにいかにラミエルの科学力がすごいと言っても、こっちはたった三人だ。最大の敵になるだろうアメリカを相手に気付かれないように弱体化させる。確かに理にかなった話だ。  麻耶が話の最後を締めくくった。 「というわけだから、ラミちゃん。その物質コピー機にその百ドル札のデータ入れて、いつでも大量に作れるようにしといてね」
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