第1章 銀色の侵略者

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 遠慮のかけらも見せずに部屋にずかずか入り込んで来たのは、妹の麻耶だった。麻耶は目ざとくラミエルを見つけると、ニヤッと嫌な笑いを浮かべてこう言いやがった。 「五千円で手を打つよ」 「な、何の事だ?」と怒鳴り返す俺。 「浪人生が、親の金で借りてるアパートに女連れ込んでたってチクられてもいいわけ?口止め料五千円、安いもんでしょ?」 「あ、あの……」  ラミエルが消え入りそうな声で割って入った。 「妹さんなんですか?」  その頃になってやっと、麻耶も彼女の格好の不思議さに気づいたらしい。数秒間じっと彼女を見つめた後、不意に握った右手を開いた左手にポンとたたきつけて…… 「彼女、アキバのウェイトレスさん?最近はそういうのが流行ってるの?」 「なんでそうなる!」と俺。 「それにしても綺麗な人ねぇ。兄さん、どうやってだましたの?ああ、それとも何か弱みを握って……」 「だから、なんでそうなる!」  妹は軽口をたたきながらも、その目はラミエルの全身をじっくり観察していた。自分のライバル足り得る美人を見るときはいつもこうだ。
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