第4章 麻耶対アメリカ、経済戦争

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 さてそれからの二週間は大忙しだった。俺たちはまず、高級そうなブティックでビジネススーツを三人とも買い込んだ。俺のは上下で一万円、ネクタイがおまけに付いてくるという安物だったが女ども二人は三万円以上の高級品買いやがった。  ついでに変装用のサングラスやら顔を隠すマスクやら買い込んで、そして俺たちはラミエルの球体に乗って世界中を飛び回った。もちろん百ドル札が無限に出てくる例の機械を積んでだ。  最初は中国へ。上海でいかにも怪しげな中国人の老人と面会した。プロレスラーそこのけのごついボディガードが一ダースもぴったりついている老人だ。麻耶が言うには中国の裏社会というか闇経済を取りしきっている大物の一人なんだそうだ。  言葉は問題なしだった。俺も麻耶も外国語は全然だめだが、ラミエルは故郷の星で地球のほとんどの言語を直接頭にインプットされているから、英語、フランス語、ドイツ語、アラビア語、中国語なんでもござれだ。  どうやら麻耶は俺たちを日本の財閥の跡取りで、親から国際的な投資の腕があるかどうかテストされている、という話をでっち上げたらしい。秘密裏に大儲けが狙える投資をしなければならないので、こんな怪しげな行動をしているという設定だ。
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