第5章 全人類人質計画

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 二度の作戦が惨憺たる結果に終わって3ヶ月目に突入し、俺とラミエルは例によって送られて来た金を現金に換えに上野へ行ってきた。今回は金の相場が前回より下がっていて八万七千五百円。  これが最後の軍資金だから大切に遣わないといけない。ちょうど昼飯時だったので上野で昼食を取る事にしたが、なるべく安く上げたい。ラミエルの軍資金だけじゃ足りなくて俺の持ち出しになる可能性もあるから、可能な限り安くすませたいのだが、かと言って腹が減っては戦は出来ぬとも言うし、ここは悩みどころだ。  そこで俺がラミエルを連れて向かったのは区役所だった。お役所の建物にはたいてい食堂が入っている。本来はお役所の職員さん達のための食堂なのだが、一般人でも利用出来る所がほとんどだ。  そしてお役所の食堂というのは意外な穴場なのだ。豪華な料理やしゃれたご馳走は期待出来ないが、会社の社員食堂や学校の学食みたいなものだから、安くてボリューム満点、栄養バランスもなかなか、というメニューがあるんだな、これが。  期待通り職員でなくても利用できる食堂だった。定食のサンプルを見たらボリューム満点のチキンカツ定食がわずか五百円!これに決まり!  ラミエルが何を選ぶかと、ふと目を向けると彼女は壁の張り紙をじっと見つめていた。そして俺に訊いてきた。 「あの、早太さん。あそこに書いてある『table for two』って、一体どんな食べ物なんですか?」
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