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「ああ、そうだよ。二十円もありゃ子供がおなかいっぱい食べられて、でもたったそれっぽっちのお金が無くて食べられない……そんな国が世界にはたくさんあるんだとさ。そういう所に寄付するお金を集めるために、こういう特別メニューを今週だけ出す事になったわけよ。ま、うちの区長もたまにはいい事するよ」
おばさんはここまで言ってガハハと笑いながらラミエルの背中をバシッと叩いて言葉を続けた。
「どうだい、お嬢さん。あんたにゃダイエットは必要なさそうだけど、かわいそうな外国の子供のために食べてみないかい?」
ラミエルは一も二もなく賛同し、そのS定食を頼んだ。俺は何となく罪悪感を覚えながら、テーブルで向かい合ってチキンカツを頬張った。
「地球にはまだそんな場所が残っているんですね……そしてそれを救おうとがんばっている人たちがいる……なんだかジンとしちゃいます」
食べながらラミエルはつぶやくようにそう言った。彼女の言葉から察すると、ラミエルの星では飢餓だの食糧不足だのが起きる国はもう無いのだろう。あれだけの科学技術があれば、飢えで死ぬ人間などいない世界であっても不思議はない。
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