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「その素粒子って、中性子でもいいの?それも高速中性子ってやつ」
「あ……はい……可能です……すいません……出来ますぅー」
いや、そこは別に謝る必要はないだろ。相変わらず気が弱い侵略者だな。
「ラミちゃん、兄さん、まずはニューヨークへ飛ぶわよ」
麻耶のこの手のセリフにはもう慣れてきたので、俺は別に驚きはしなかったが、何故ニューヨークなのかは一応訊いておくことにした。
「なんでニューヨークなんだ?」
「国連本部があるからよ」
今度は驚いた。
「国連て……あの国連か?」
「あれ以外にどこに国連があるのよ。そう、国際連合よ。ラミちゃん、その機械は自分で動けるの?」
「あ、はい。これ自体に飛行能力があって大気圏内なら自由に飛んだり空中で静止したり出来ます。説明書によれば……緊急時には空間を瞬間移動も出来るようです」
「じゃあ、あたし達はラミちゃんのUFOで移動して、その円盤は別に飛ばしてコントロール出来るわね?」
「ええと、はい、大丈夫です。この機械はわたしの携帯型コンピューターで遠隔操作出来ます」
「いいわ……じゃあ、その機械に高速中性子を大量に放射するよう設定して」
そう言った麻耶の顔を見て俺は……ぞっとした。今までに知っている麻耶じゃない。何か冷酷そうで、それでいて硬い決意を秘めた……そんな感じだ。悪知恵働かす時のあの冷酷さとは、何というか、次元が違う。
俺は麻耶がいじっていたパソコンをそっと取り上げ、その画面を見た。そして麻耶のその異様な決意を理解した。パソコンのモニターに映っていいたのは中性子爆弾に関するどこかのホームページだった。
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