第5章 全人類人質計画

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 中性子爆弾てのは核兵器の一種だ。人類最初の核兵器は広島と長崎に落とされた原子爆弾。これぐらいは日本人なら知ってるべきだ。  第二次世界大戦後、アメリカと当時のソビエト連邦は競ってもっと強力な核兵器の開発を行った。そして水素爆弾が作られた。  原子爆弾と言うとなんか「原子」という名の火薬みたいなのに火をつけて爆発させるように聞こえるが、正確には「核分裂エネルギー爆弾」とでも名付けるべきだっただろう。  ウランとかウラニウムと呼ばれる元素がある。原子核内部に陽子と中性子という素粒子が固まっていて、これを合わせた数が235の物と238の二種類がある。このうちウラン235と呼ばれる物がいわゆる核分裂を起こす。まあ要するに原子核がパカっと半分ずつぐらいに二つに割れるわけだ。  この時、莫大な量のエネルギーを主に熱と放射線の形で四方八方にまき散らす。原子核が一個だけなら大したエネルギーじゃないが、ウラン235はある程度の大きさの塊にするとその中にある何億個もの原子核が一秒の何百分の一という、瞬きする暇もないような短い時間に次々に核分裂を起こす。いわゆる連鎖反応というやつだ。  この核分裂の連鎖反応を利用して、一瞬の間にとてつもない熱エネルギーをドッカーンと炸裂させたのが原子爆弾だ。ちなみにプルトニウムという元素でも同じ事が出来る。現在原子爆弾として使われるのはこのプルトニウムが主流だ。
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