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仕方ないので、ありのままを妹に話す事にした。ラミエルも横から説明を加えてくれた。妹はしばらく黙って俺達の話を聞いていたが、やがてスカートのポケットから携帯電話を取り出し、どこかに電話をかけ始めた。数秒してつながったらしく開口一番……
「もしもし、両国総合病院ですね。精神科の急患の受け入れはできますか?」
俺は無言で妹の携帯を取り上げて、通話ボタンを切った。
「なにすんのよ!携帯返してよ!」
「実の兄を精神科に幽閉しないと誓うならな!」
が、まあ、麻耶が信じられないのも無理はない。当事者の俺だって今でも信じられないのだ。
「あ。あのう……」とラミエルが恐る恐る話に割って入ろうとする。
「私が宇宙人だという証拠を妹さんにお見せすれば……」
「そんな事、どうやって?」と俺。
ラミエルは「こ、これです。」と言って右の掌を開き、一瞬目を閉じて意識を集中する素振りを見せた。すると彼女の掌の上に突然小さな赤い光の球が出現した。俺が自転車でぶつかったあの球を小さくした物のようだ。
麻耶も今度は本気で驚いたようだ。
「な、何よ、それ?」と訊く麻耶の声もさすがに震えている。ラミエルは淡々と説明を始めた。
「これはわたしたちが使う移動手段。何百光年の距離も一瞬で飛べる、あなた方の言う宇宙船、あるいはUFOみたいな物です。使わない時は目に見えないサイズに縮小して隠してあるんです。あなたたちを今からこれで高高度の上空へお連れします」
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