第5章 全人類人質計画

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 そして数日後、俺と麻耶とラミエルの三人は例の赤い球体に乗ってニューヨークにある国際連合本部ビルへ飛んだ。出がけに新聞を見たらちょうど国連総会が開かれている時だった。議題はなんだか難しすぎて俺には理解不能だったが、世界各国の国連大使が集まっているらしい。  まあ乗り込むにはいいタイミングなのだろうが、麻耶のやつ、そこで何を始める気なんだろう?今回麻耶はラミエルに低空で飛んで国連ビルの中まで堂々と正面から入り込めと命令した。どうやらUFOの存在を隠す気はないようだ。  アメリカの領空に入ると、わずか数分後にジェット戦闘機が二機追いかけてきた。俺たちのやっている事は領空侵犯というやつ、つまりアメリカのお役所の許可を得ないで勝手によその国の空を飛んでいるわけだから当然だ。  ラミエルの例のコンパクト型スパコンから何やら英語のわめき声が聞こえてきた。俺にはさっぱり分からないが、まあ想像はつく。すぐに領空から出て行け、さもないと撃墜するぞ、といったとこだろう。  無視して飛び続けていたら機銃を最初は進行方向すれすれに横切るように撃ってきた。それでも無視していると今度は球体めがけて直接機銃を撃ちこんできた。やばい、相手は本気だ。  だがラミエルは平然とした顔でスパコンをちょいちょいと操作する。確かに弾は命中したはずなのに、何の衝撃も感じない。 「大丈夫です」  ラミエルは俺の顔を見て自信ありげにそう言った。 「この球体は常に高エネルギーバリアで包まれていますから、たとえミサイルが当たってもびくともしません」
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