第5章 全人類人質計画

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 麻耶は当然という顔でそれを聞いている。たぶん事前に球体の性能は彼女から聞いているのだろう。そうでなきゃ、いくら麻耶でもこんな危険な飛行はさせないはずだ。  そんな事を考えていたら追いかけてきていた戦闘機が本当にミサイルをぶっ放してきた。おそらく目標をどこまでもしつこく追いかけてくる追跡ミサイルとかいうタイプだろう。これは厄介かも。だが麻耶の指令は意外なものだった。 「ラミちゃん、スピードアップよ。あんなミサイル振り切って見せちゃいなさい」  で、本当にそうなった。音速の数倍の速さで迫って来たミサイルが見る見る後ろに離れていく。最後にはミサイルの燃料が尽きて海面に落っこちて行ってしまった。もちろん戦闘機はもう俺たちの視界の片隅にもない。  一体どれほどのスピードが出せるんだ、この球体は?それに普通の飛行機でそんなスピード出したら中にいる人間はいわゆるGがかかる、という状態になって無事じゃすまないはずだ。だが俺たちは三人とも何ともない。宇宙人のラミエルはともかく、俺と麻耶でさえ体に何も変化を感じない。  改めてラミエルの星の科学力に驚いているうちにもう国連ビルに着いてしまった。
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