第5章 全人類人質計画

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 そう言ってにっこり笑うとラミエルはバリアの外へ出て、その黒人女性に近づいて行った。彼女はラミエルの両手を握りしめ、何かを必死に訴えている感じだ。何語なのかよく分からないが、ラミエルなら何語でも相手と話が出来る。  ほんの二、三分の間だったが、その黒人女性とラミエルは話し続け、最後に黒人女性がラミエルの手の平に何か小さな物を握らせた。戻ってきたラミエルと一緒に急いで球体の中に戻る。そろそろ上空を軍のヘリコプターや戦闘機が飛び交い始めていたからだ。  帰る方向を悟られないように、俺たちは球体をまっすぐ上空に飛ばした。もちろんジェット戦闘機でも到底追いつけない超高速で、だ。そして帰りは海中に潜り、見つからないようそのまま水中を進んで日本に、俺のアパートへ戻った。
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