死刑宣告

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「暑……」 目が覚めた。携帯電話に手をのばし、時間を見る。十時二十五分。二時間目の途中だ。 「寝よう」  再び、ベッドの中に潜り込む。学校、二年生前半にして二日に一回ペースで半日以上サボっている。  一応、定期試験は受けた。が、散々たる結果でありーーと言っても授業に出ていないから当たり前ではあるが―― ますます行く気が無くなっていく、なんて言い訳をしながら面倒でいかない自分を正当化している日々。  一年生の頃は勉強こそしてなかったもののしっかり学校に行っていた。でも、二年の春以来、足は重い。  だが、十分しても暑すぎて二度寝は不可能だと悟った。腹も減ったし朝飯を食べることにため、とりあえず下に降りることを決めた。部屋がある二階から、一階へと降りる。 「柚宇、朝飯」 「ん、起きたの? おはよう。ちょっと待ってね、オーダー入ってるから」 「おう」 「あとそのかっこで表に出ないでね? お客さんに失礼だから」 「んなことわかってるって。シャワー浴びてくるわ」  我が家は喫茶点。「Hi you」という店で、地元ではわりと有名だ。朝から昼は、OLやサラリーマン。昼過ぎは主婦。夕方は学生で常に賑わっている。  俺の名、「光」から「Hi」と、母親である柚宇の「You」をもじってつけた店名も、親しみやすいと評判、らしい。  寝汗のせいで、不快指数が高い。服を脱ぎ、風呂場に入るとすぐに頭から水を被る。目つきが悪い、とよく言われるため、それを隠すために長くしている髪を適当に洗う。 朝、もとい昼シャンなんて適当でいい。腰にタオルを巻き、鏡の前で髪を乾かす。  ここには俺の服はない。一度部屋に戻って服を着て、出直す。 「今日も店手伝うよ」 「はいはい了解。じゃあ今日の光は料理担当ね、だらしないから」  本日のコーディネート。  高校のジャージ、紺色の生地に白いラインを基調とした、ワンサイズ大きいハーパンに、上は普通のTシャツ。確かにこれじゃあ店員として表には出れない。
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