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例の如くネタめもこ
其の場所は人も少なく、誰かの目を気にする必要はなさそうだった。
構造上、隅の方に作られたその空間は則ち『図書室』という場所で、上の階に位置しているのを良いことに僕はその大きな窓から内部へと侵入した。
やはり人の気配は殆ど無い。
窓が多いのと空に近いということもあって、高い本棚の隙間から明るい光が差し込む。
旧時計塔の真下にあるらしく、高く伸びる天井の先には歯車の入り組んだ様子や止まった振り子がよく見える。
僕は特殊な術を使い素早くこの学園の制服に着替えると、あくまで平然を装ったまま本棚の間に入り込んだ。
凄まじい量の本。
微かな埃の匂いと、木の匂い。
上を見渡せば、更にもう一階分の円形状の通路があり、それを囲むように本棚が並んでいる。
どうやら小さな階段を登って移動するらしい。
見た目の割に壮大な構造と羅列する本の量に、思わず息を飲んだ。
今すぐ飛び付いてしまいたかったが、この敵陣中いつ何処で誰に見られているかわからない状況では無謀な行動だった。
まずは全体を見よう。
それから何の本を『持っていくか』真剣に考えよう。
幸い、此処の人間はあまり図書室を利用しないらしく、活気づいている様子は微塵もなかった。
時折、本棚の隙間から白髪の魔族らしき生徒や黒い長髪の生徒の影が見えたが、この程度なら僕の目的に何らかの危害を加えることもないだろう。
強いて気になるとすれば、もう一人誰かが居たような気がしたことか。
はっきりとはわからなかった。
気配を消しているのではなく、気配を感じとれないようになっている様な、正体不明の何かが居た気もする。
とは言え、やはりそれも僕の目的には手を出して来ないだろうと思った。
(さて・・・)
ざっと一周した所で、僕は彼らからやや離れた所の本棚に近付き、そこから幾つかの書物を抜き取り腕に抱えた。
誰も見ていない。
しめたと思い、僕は再び近くの窓から外へと飛び降りた。
END
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