決意表明

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「……で、何でしたっけ?」  凛先輩をからかっていたら本来の質問を忘れてしまった。俺がそう言うと、先輩は呆れている様子だった。 「真中シンは"何でも出来る"のに"出来ない"ことがあるのか、と言うことだ」 「あー」 ──なるほど。  俺は先輩に愚痴のように、真中心は何でも出来ると言い続けてきた。それで今日のセリフが気になったのか。 「その言葉の通りの意味っすよ、アイツは何でも出来るけど──出来るからこそ出来ないこともあるんです。……意味分かります? 矛盾してるようで、してないんですよ」  挫折を味わったことのないアイツだから、アイツは絶対に諦めない、逃げ出さない。  アイツに欠点があるとするなら、まさにそれだろう。  そして、それがアイツの出来ないこと。  ……そういう意味では、アイツも何でもは出来ないのか。そう考えると、何だか嬉しい。 「ふむ」  凛先輩は再び思案顔。  俺はその間にマウスを動かして、カチカチ操作をする。メールフォルダを開いた直後に、先輩はパソコンを指差して尋ねてきた。 「その案件が彼の出来ないことなのか?」
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