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「また……か」
放課後の喧噪の中、ため息を乗せて小さく呟く。
その視線は中央廊下に大きく貼り出されたある紙のある一点に向いている。
ある紙というのは、五月に行われた中間テストの順位表で、全校生徒の点数が学年別に一位から最下位までずらっと並べられている紙の(上位三十名までは名前が記されている)ことで、ある一点というのはその紙の左上の、トップクラスの成績を出した者たちの名前が書かれている部分だ。
その中に自分の名前を見つけたのにも関わらず、やはりため息をつかずにはいられなかった。
もちろん『また二位か、余裕すぎて話しにならねえよ……はあ』という意味ではない。
どさくさに紛れて、自分の順位が二位であることと『また』という言葉を付けて、その順位を穫ったことがこれ一度ではないことを暗に秘めて言ってしまったのだが、決して自慢ではない、決して。
ただ、我ながら凄いとは思う。
二位なんて中々穫れるようなものじゃない。それを一度や二度ではなく常にだなんて、凄いなあ俺。
……あ。
常にとか、本当の事を言っちゃったよ。あーあ、嫌味に聞こえちゃうかもなあ。
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