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放課後、テスト用紙をもって進路室に向かった。矢久、いるかな…。
矢久は結構「お偉いさん」らしく、アタシの担任を手なずけてた(笑)
だからきっと、忙しいんだろうなぁ。応接とかあるっぽいし…。
手をグーに握ってノックをしようとしたとき―
戸が、スライドされた。びっくりして、顔を上げてみた。
そこにいたのは。
「…」
「…」
矢久。黙ってアタシを見てる。……はずいんですけど//
ていうか、なんかまたドキドキしはじめた。そんなじろじろみないでよ!!
「…何してん」
「…あ、えー……。…ちょっと、先生に用事…」
アタシは一歩下がって距離をとった。近すぎたら顔真っ赤になるもん。
「誰先生?」
「…だから、先生」
「俺?」
「ウン」
しばらくの沈黙。あのー…気まずいんですけど。あー、もうっ。何か話さないと…。
「急ぎの用事?」
「いや、そこまでは…」
「なら、今はパス。これから三年生の授業あるから」
そういって矢久はスタスタとどこかへいってしまった。
…遠い。背中を見つめることしかできない。遠い。
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