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痛々しい傷が
ギラリと歯を見せて
ニヤリと笑った
チラリと見える舌が
ドロリと滴る血を
ペロリと舐めとる
ドクンと脈打つ心臓
ズキンと痛む躯
ダランと垂れた手足
それでも瞳は狂気に溺れ
荒げた声で高らかに笑えば
蝕む傷は速度を上げる
壊れた感情と壊した躯
傍らの少女が傷口に触れる
グサリと刺さる鋭い歯
ヒヤリと嫌な汗が背筋を伝う
ポツリとつぶやく声と共に
少女もまた崩れ落ちる
終わらない歌声だけが
ただ響き渡っていた
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